Introduction
本稿では、Windows 10でのQtのインストールと設定について、以下の通り述べます。
- What is Qt?
- Building Qt 5 from Git
それでは、参りましょう。
What is Qt?
Qtとは、クロスプラットフォームのアプリケーション デベロップメント フレームワークです。ここで言うプラットフォームは Linux, OS X, Windows, VxWorks, QNX, Android, iOS, BlackBerry, Sailfish OS等。Qtはプログラミング言語そのものではなく、C++言語にて作成されています。
Building Qt 5 from Git
Qt 5 build procedure
Qt 5 ビルドの手順は次の通りとなります。
- Install Requirements
- Download Qt 5 from Git repository
- Download Qt 5 submodules from Git repository
- Run Qt 5 batch file for environment setting
- Setup LLVN/Clang environment setting
- Run configuration command.
- Run “nmake” for Visual C++
Install Requirements
OptionとBundleを除いて、本当に必要で、今回使用した必須プログラムを列記します。
Prepare for Qt Build (Part 1)参照項目
- Python version 3, 3.5 or later
- Python version 2, 2.7.5 or later required for Qt WebEngine
- Strawberry Perl
- Ruby
- Microsoft Visual Studio 2019
- CMake 3.18
Prepare for Qt Build (Part 2: LLVM/Clang)参照項目
Prepare for Qt Build (Part 3: ICU)参照項目
- ICU Package
Download Qt 5 from Git repository
先ず、コマンドプロンプトを起動して、クローン先のフォルダーに移動し、Git repositoryからQtソースコードをダウンロードします。
クローンのコマンドは
e.g. @prompt>git clone git://code.qt.io/qt/qt5.git
または、
e.g. @prompt> git clone https://code.qt.io/qt/qt5.git
で、クローン先のフォルダーは本稿では、
e.g. E:\Qt
「qt5」フォルダーは自動的に作成されます。
Download Qt 5 submodules from Git repository
次に、Git repositoryからQtのsubmoduleをダウンロードします。コマンドは以下の通り。
e.g. @prompt> cd qt5
e.g. @prompt> git checkout 5.15.1
e.g. @prompt> perl init-repository
Run Qt 5 batch file for environment setting
ここで、batch fileを作成して、実行します。このファイルはQtをビルドする際の環境変数の設定等を行うスクリプトとなります。以下のサイトの「Configuring Visual Studio 2013 on Windows 8, 8.1 & 10」に掲載されていますので、コピーして使用します。
掲載されているサイト:https://wiki.qt.io/Building_Qt_5_from_Git
ファイル名を「qt5vars.bat」として、クローン先のフォルダー(e.g. E:\Qt\qt5)に保存します。
僕の場合は、このファイルを少々加工しています。
先ず、「x64 Native Tools Command Prompt for VS 2019」を使用するため、
CALL "C:\Program Files (x86)\Microsoft Visual Studio 14.0\VC\vcvarsall.bat" <arch>
はコメントアウトまたは削除し、Root directoryを
SET _ROOT=E:\Qt\qt5
としました。
また、ICUを使用するため、そのコメントアウトを外しました。以下の様になります。
REM When compiling with ICU, uncomment the lines below and change <icupath> appropriately: SET INCLUDE=E:\ICU\icu\icu4c\include;%INCLUDE% SET LIB=E:\ICU\icu\icu4c\lib;%LIB% SET PATH=E:\ICU\icu\icu4c\lib;%PATH%
ここで、「x64 Native Tools Command Prompt」を起動して、Visual C++のコマンドプロンプトを開きましょう。そして、クローン先のフォルダーに移動して「qt5vars.bat」を実行します。
Setup LLVM/Clang environment setting
LLVM/Clangの環境変数の設定のため
set LLVN_INSTALL_DIR=<LLVM installed directory>
を実行します。
僕の場合は、「<LLVM installed directory>」は「e:\LLVM_Clang\llvm-project\build」となります。
Run configuration command
環境変数の設定が整ったところで、以下の「configure」コマンドを実行します。
E:\Qt\qt5\configure -developer-build -opensource -nomake examples -nomake tests -confirm-license -mp
ここで、「-mp」コマンドオプションを追加しています。これによりビルドの実行時間が大幅に短縮されます。
ところで、理由はわかりませんが、本稿ではQt WebEngineとQt PDFのビルドに失敗しています。また、LLVM/Clangの認知にも失敗しています。これらの件に関しては宿題とさせていただきます。
Run “nmake” in Visual C++
準備が整ったところで「nmake」を実行します。コマンドプロンプトに「nmake」と入力して、「Enter」を押すだけです。参考の為に、ビルドにかかった時間を記しておきます。PCはIntel® Core™ i7-8700K CPU @3.7GHz 16GB RAM (チョット古い)です。
Qt build without "-mp" option: 4 hr and 2 min Qt build with "-mp" option: 32 min
“nmake”が無事に終了すると、Qt Toolkitのインストール完了です。ここまでお疲れ様でした。
Conclusion
如何でしたか。本稿ではQtを紹介し、インストール手順を列記しました。最後までお読みいただき、ありがとうございました。